相続した不動産の名義変更(相続登記)をするにあたっては、様々な費用がかかってきます。
登録免許税や戸籍取得費用のように必ずかかってしまう費用もあれば、司法書士手数料のように専門家に依頼した場合にのみかかる費用もあります。
ここでは、相続登記を行う際にかかる費用について解説します。
このページの目次
1.相続登記の流れ
相続登記をする際の流れは、大まかに分けると次のとおりです。
①相続登記をする不動産の状態の確認(謄本の取得)
②相続不動産取得者の確定
③相続登記必要書類の収集
④相続登記申請
この①から④の流れで相続登記手続きを進めていくことが多いですが、通常費用が発生してくるのは①、③、④の手続きになります。
以下、具体的にどのような費用が発生するのかみていきましょう。
2.各手続きで発生する費用
◎相続不動産の謄本取得費用
相続登記をする前提として、相続した不動産が現在どのような状態になっているのかを登記記録を見て確認しておく必要があります(不動産が被相続人の先代の名義のままになっている場合もまれに存在します。)。
登記記録を確認するためには、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する方法がありますが、法務局への手数料として1通600円の費用がかかります。
相続不動産が複数ある場合には、不動産の数×600円となり、戸建ての場合だと1200円~2400円程度になることが多いでしょう。
マンションの場合には、謄本は1通で済むことも多いですが、古い団地などではマンション敷地の土地が何筆にもまたがっていることがあり、すべて確認しようとすると謄本取得費用だけで数千円になることもあります。
なお、インターネットから謄本を請求する場合には、1通500円(窓口受け取りの場合には1通480円)となるため、多少費用が安くなりますが、事前の登録が必要です。
→インターネットによる謄本請求は、「登記・供託オンライン申請システム」から行うことができます。
また、登記情報提供サービスというものがあり、インターネット上で簡易的な登記記録(登記情報)を確認することができます。
ただし、こちらも利用には登録が必要であり、個人の場合にはクレジットカード決済のみとなりますが、1通332円(令和3年10月1日より値下げされました)で登記内容を確認することができるため、費用的には非常に安く済みます。
◎相続登記必要書類の取得にかかる費用
相続登記には申請書の他に様々な添付書類を提出しなければなりません。
各必要書類の取得にかかる費用は、それぞれ以下のようになっています。
戸籍取得費用
戸籍謄本が1通450円、除籍・改製原戸籍謄本は1通750円となります。
遺言書がない場合には、相続人全員の戸籍謄本に加え、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になるため、3000円~5000円程度はかかることが考えられます。
住民票(除票)取得費用
相続人の住民票や被相続人の住民票除票の取得にかかる費用は自治体によって異なっており、その多くが1通200円~400円になっています。
コンビニエンスストアでの証明書交付サービスを利用する場合には、手数料が多少安くなっていることが多いです。
コンビニエンスストアで取得した住民票であっても、相続登記の手続きでは問題なく使用することができます。
なお、住民票(除票)は、被相続人と不動産を取得する相続人の分が必要となります。
印鑑証明書(印鑑登録証明書)取得費用
相続人間で遺産分割協議を行う場合には、遺産分割協議書と併せて相続人全員の印鑑証明書の添付が必要となります。
印鑑証明書の取得費用は、住民票と同様に1通200円~400円のところが多いです。
コンビニエンスストアでの証明書交付サービスを利用した場合に費用が安くなる点についても同様です。
固定資産評価証明書取得費用
相続登記の登録免許税の金額を算定するために不動産の評価額が分かる書類を用意する必要があります。
固定資産税納税通知書(課税明細書)に評価額の記載があれば、それを使うことができますが、破棄してしまった等の理由により、固定資産税納税通知書(課税明細書)がない場合や、固定資産税納税通知書(課税明細書)に評価額が正確に記載されていないこともあるため、このような場合には、固定資産評価証明書という書類を取得します。
固定資産評価証明書は、各市区町村(東京23区の場合には都税事務所)で取得することができ、費用は地域によって異なりますが、大体数百円から1000円程度で収まることが多いです。
なお、地域によっては「固定資産評価通知書」という登記のみで使用できる書類を無料で発行してもらえるところもあります。
遺言公正証書正本・謄本取得費用
遺言書を公正証書で作成した場合、その作成時に公正証書の正本と謄本をもらうことができます。
相続登記の際には、その正本もしくは謄本のいずれかがあれば問題ないのですが、仮にどちらも紛失してしまった場合には、公証役場で再交付をしてもらう必要があります。
その際にかかる費用は、遺言書1枚につき250円です。
公正証書遺言が紙1枚で収まることはまずなく、通常は3枚~8枚程になります。
郵送費、定額小為替発行手数料
戸籍や住民票などの書類を郵送で請求する場合、往復分の郵送費(切手代)がかかります。
特に戸籍は分量が多くなることもあるため、返送用には切手を貼った封筒ではなく、レターパックを使うことをお勧めします。
レターパックライト(青い方)は370円、レターパックプラス(赤い方)は520円かかりますが、4kgまで送れるため重さを気にせずに済みます。
また、郵送で戸籍や住民票などを請求する場合には、役所に支払う手数料は定額小為替を使います。
定額小為替は郵便局で発行してもらえますが、その発行に際しても1枚100円の手数料がかかります。
◎相続登記申請の際にかかる費用
相続登記を申請する際には登録免許税という国税がかかります。
固定資産税納税通知書(課税明細書)や固定資産評価証明書に記載されている不動産の評価額に1000分の4(0.4%)を乗じた額を納めることになります。
例えば、相続不動産が土地1筆(評価額1500万円)と自宅建物(300万円)である場合、相続登記(相続による所有権移転登記)の登録免許税額は、
(1500万円+300万円)×4/1000=7万2000円
となります。
相続登記手続きの中では、この登録免許税が最も高額な費用となることが多いでしょう。
3.司法書士に依頼する場合に別途発生する費用
上記は、司法書士に依頼せずに、自分たちだけで相続登記手続きを行う場合であってもかかってしまう費用になります。
司法書士に相続登記手続きの一部または全部を依頼する場合には、別途以下の費用が発生します。なお、分かり易くするため、消費税別としています。
司法書士に必要書類の収集を依頼する場合
1万円~3万円程度
司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼する場合
5000円~2万円程度
司法書士に相続登記の申請を依頼する場合(登記申請書作成を含む)
3万円~5万円程度
司法書士に必要書類の収集から相続登記の申請まで一連の手続きを依頼する場合
5万円~8万円程度
なお、司法書士の手数料は自由化されていますので、上記はあくまで目安となります。
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