預貯金口座・証券口座の相続手続き

亡くなった方が預金・貯金口座や証券口座をお持ちだった場合、死後に名義変更や払い戻しなどの相続手続きをする必要があります。

特に、預貯金の口座を持っていない人はほとんどいないため、被相続人名義の預貯金の相続手続きについては、相続が発生したら必ず行う手続きになります。

預貯金口座と証券口座の具体的な相続手続きの方法をご説明しますので、相続人の方はぜひ参考にしてみてください。

1.預貯金口座の相続手続き

被相続人が預貯金口座を持っていた場合、死亡と同時に直ちにその口座が使えなくなるわけではありません。預貯金口座の名義人が死亡しても、金融機関がそれを知らされない限り、口座は凍結されないからです。

被相続人が死亡したことは通常相続人から金融機関に連絡が行きますので、相続人の連絡がないままずっと放置されている預貯金口座というのも存在したりします。

ただ、口座が凍結されていないからといって相続人の一人が勝手に引き出したりすると、他の相続人とのトラブルになったり、相続放棄ができなくなったりするリスクがありますので、避けるべきです。

被相続人名義の口座からの引き落としや年金等の入金がない場合には、できるだけ早めに金融機関に対して死亡の連絡をしましょう。

遺言書がない場合で被相続人名義の預貯金口座から相続人が払い戻しを受ける方法は以下の2パターンに分けられます。

1-1.遺産分割前に相続人の一部または全員から払い戻しを請求する場合

預貯金については、平成30年の民法改正により、遺産分割前であっても相続人の一部から払い戻しを請求することが可能になりました。

一つの口座につき各相続人が払い戻しを請求できる金額は、以下のとおりです。

相続開始時の預貯金額×1/3×払い戻しを請求する相続人の法定相続分

※ただし、同一の金融機関(複数支店がある場合にはその全支店)から払い戻しができる金額の上限が150万円となります。

上記金額以上に払い戻しを受けたい場合には、家庭裁判所に申し立てる必要があります。

また、遺産分割をしていなくても、相続人全員から払い戻しを請求する場合には、預貯金額の全額について払い戻しを受けることができます。

この場合には、代表の相続人を一人決めて、その相続人の口座に入金をしたり、その相続人の名義に変更する手続きを行うことになります。

1-2.遺産分割をした後に預貯金を相続した相続人が払い戻しを受ける場合

相続人全員の間で遺産分割協議が済んでいれば、預貯金を相続した相続人は、金融機関に対して自分が相続することとなった金額の払い戻しを請求することができます。また、預貯金の払い戻しを受けずに、被相続人名義の口座を相続人の名義へ変更(名義変更)することも可能です。

手続きは各金融機関の窓口で行うか、金融機関によっては郵送で手続きをすることも可能です。また、都市銀行や郵便局では通常どこの支店でも手続きが可能ですが、信用金庫・信用組合や地銀など一部の金融機関では被相続人の口座がある支店でないと手続きができないところもあったりしますので、注意が必要です。

預貯金の払い戻しや名義変更の手続きに一般的に必要となる書類は、以下のとおりです。

  • 金融機関所定の届書(請求書)
  • 被相続人の出生時から死亡時までの戸籍・除籍・原戸籍
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 払い戻しを請求する相続人の印鑑証明書
  • 遺産分割をしている場合には遺産分割協議書(全員の印鑑証明書付き)
  • 通帳、キャッシュカード

法務局で「法定相続情報一覧図」を取得していれば、被相続人の出生時から死亡時までの戸籍・除籍・原戸籍と相続人全員の戸籍謄本が不要となります。

なお遺言書がある場合には、その遺言書に従って手続きをしていくことになるため、必要書類が変わってきます。

2.証券口座の相続手続き

被相続人が証券会社で株式等の取引をしていた場合には、証券口座の中身を相続人へ移転しなければなりません。証券会社では、「口座自体の名義変更」はできないので注意しましょう。相続人名義の証券口座を用意し、そこへ株式などの財産を移転する必要があります。

株式については遺産分割しない限り相続人の準共有状態となりますが、その場合には議決権行使や配当金の受領などの際にトラブルになりやすいので、早めに遺産分割をして承継者を確定しましょう。

証券口座の相続手続の進め方

相続人が被相続人の証券会社に証券口座を持っている場合には、そちらに株式等の財産を移管します。証券会社に申請をして手数料を支払えば、手続きを行ってもらえます。

相続人が証券口座を持っていない場合には、相続人の証券口座の開設と財産の移転の両方を行う必要があります。こちらについても証券会社へ口座開設の申請書や名義変更書類を提出すれば、対応してもらえます。

手続きの際には、預貯金の相続手続きと同様に戸籍謄本類や遺産分割協議書などの書類が必要になってくるため、預貯金の相続手続きで使用した相続関係書類はまとめて保管しておくようにしましょう。

預貯金口座や証券口座の相続手続きは金融機関や証券会社によって書式も異なり、必要書類も若干異なったりしてややこしい部分があるため、面倒な方は専門家に任せましょう。

当事務所では司法書士が各種の相続手続きを代行しています。法定相続情報一覧図の取得なども併せて行うことができ、相続手続きを一括して進められますので、お気軽にご相談ください。

 

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0353449660電話番号リンク 問い合わせバナー