相続対策としては一般的に遺言書を作成しておいた方が良いと言われていますが、その中でも特に遺言書を作成した方が良いケースであったり、遺言書を作成しておかなければそもそも思い通りの財産承継を実現することが不可能であったりするケースが存在します。
このページの目次
1.特に遺言書を作成した方が良いケース
相続財産の大小にかかわらず、遺言書は作成しておいた方が良いですが、以下のようなケースでは特に遺言書の作成をおすすめします。
◎家族間の仲があまり良くない
家族間(将来共同相続人となる人)の仲が良くない場合、相続財産をめぐって争いになる可能性は非常に高いです。遺産分割のために話し合いをするにも、そもそも相手方と話をしたくないという相続人もいらっしゃるでしょうから、このような場合には必ず遺言書を作成しておくようにしましょう。
作成する遺言書の内容も、各相続人の遺留分を考慮したものにし、相続不動産が共有状態になるような内容の遺言書は避けるべきです。
◎家族間の意思疎通が少ない(海外に居住しているなど)
家族間の仲が悪いというわけではないが、お互い関わることが少ない、話もあまりしないというケースもあります。
この場合も遺言書は作成しておくべきです。
特に、海外に居住している相続人がいる場合には、遺言書で遺言執行者(日本に居住している人)を定めておけば、相続手続きが滞らずに済みます。
◎相続財産に不動産が存在する
相続財産が現金・預貯金のように金額で分けられるものであれば、遺言書がなくても、法定相続分どおりに各相続人が分割取得すれば揉め事は起こりにくいです。
しかし、不動産のように金額で分けることができないものについては、相続人間での不公平が生じやすいため、注意が必要です。特に、代々受け継がれてきた不動産などは、誰が相続するかで揉めることが多いです。
不動産を誰が相続するかで揉めそうであれば、不動産を第三者に売却して、その売却代金を相続人間で分けるという内容の遺言書を作成しておくのも手です。この場合には必ず遺言執行者を定めておきましょう。
2.財産承継を実現するために遺言書が必要なケース
以下のような場合には、そもそも遺言書がないと実現することが難しいです(家族信託を利用して実現することも可能ですが、それ相応の時間と費用を要することになります。)。
◎子供がいない夫婦の場合で、両親や兄弟姉妹には財産を渡したくない
子供がいない夫婦の場合には、法定相続人は配偶者と両親(祖父母)もしくは兄弟姉妹となりますが、配偶者にすべての財産を相続させたいのであれば、遺言書にその旨を書く必要があります。
特に兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言書を使えば遺留分を気にすることなく配偶者に全財産を相続させることが可能です。
◎内縁の夫婦の場合で、相手方に財産を渡したい
内縁の夫婦は法律上の夫婦ではないため、お互いに相続権は認められません。
そのため、相手方に財産を渡したいのであれば、遺言書を使って遺贈する必要があります。
◎相続人以外で、お世話になった人などに財産を渡したい
この場合も、相続人でない以上、相続という形で財産を承継することはできませんが、遺言書による遺贈を受ければ財産を受け取ることができます。
ただ、相続人の遺留分には十分注意してください。
遺言書を作成したからといって、相続対策として万全というわけではありません。
しかし、遺言書の作成がスムーズな財産承継の第一歩となることは間違いありません。
自分の場合は遺言書を作成しておいた方が良いケースに当たるのかどうか知りたいという方、とにかく遺言書を早く作成したいという方は、遺言書の作成に多数の実績がある当事務所にご相談ください。