相続放棄について

  • 死亡した父親がカードローンで借金をしていた
  • 父親が生前「連帯保証人」だったけれど、保証人の地位を引き継ぎたくない
  • 相続放棄のデメリットを知りたい

相続人の立場になったとき、相続を避けたければ「相続放棄」が有効な手段となります。

ここでは、相続放棄の意味やメリット・デメリット、相続放棄の方法などをご説明しますので、借金を相続したくないなどの事情のある方はぜひ参考にしてみてください。

1.相続放棄とは

相続放棄のメリット

相続をすると借金だけではなく滞納している家賃や税金、健康保険料、連帯保証債務なども相続してしまうので、そういった負債が残されている場合には相続放棄を検討すべきです。

相続放棄とは、相続人としての地位を放棄して、初めから相続人ではなかった状態にすることです。

相続人となる人は民法で定められており、配偶者、子、親、兄弟などが相続人となりますが、これらの相続人であっても、相続放棄をすると相続人ではなくなり、一切の遺産や権利義務を相続しません。

ですので、借金などのマイナス財産の相続を避けたい場合などに非常に有効です。

2.相続放棄のメリット

相続放棄をすると、以下のようなメリットがあります。

◎被相続人の負債を相続せずに済む

相続放棄をすると、被相続人が生前に有していた負債を相続せずに済みます。ローン、キャッシング、事業用の負債、保証債務、滞納している家賃や税金などあらゆる負債を免れるので、負債を引き継ぎたくない方には大きなメリットとなるでしょう。

相続放棄による代襲相続(※)も発生しないので、自分の子どもに借金が引き継がれる心配も不要です。

※自分が相続人とならない代わりに、自分の子や孫などが相続人となること。

◎遺産相続トラブルに巻き込まれない

相続放棄をした人は初めから相続人ではなかったことになるので、相続人間で行われる遺産分割協議に参加する必要がありません。

遺産の分配方法や金額をめぐって相続人同士で争いになっている場合であっても、自分はそれに関与する必要がなくなるので、相続トラブルに巻き込まれたくない方もメリットを得られるでしょう。

3.相続放棄のデメリット

相続放棄にはメリットばかりではありません。

逆に相続放棄をすることによって以下のようなデメリットが生じてしまいます。

◎資産も相続できなくなる

相続放棄をすると、負債だけではなく、不動産や預貯金、株式といった資産も相続することができなくなります。

遺産が「資産超過」、つまりマイナス財産よりプラス財産の方が多いケースで相続放棄をすると、経済的には損になってしまいます。

先祖代々伝わる土地など守りたい資産がある場合にも、相続放棄をするとそれを受け継いでいくことができなくなってしまうので、注意しなければなりません。

ただし、自分の他にも相続人がいれば、相続放棄をしてもその相続人が大事な財産を受け継いでくれる可能性はあります。

◎撤回をすることができない

いったん相続放棄をしてしまうと、余程の事情がない限り撤回することができません。

相続放棄をした後にマイナス財産を上回るようなプラスの財産が見つかったとしても、「やっぱり相続する」というわけにはいかないので、相続放棄をする場合には慎重に判断しましょう。

4.相続放棄の方法

相続放棄をするときは、家庭裁判所で「相続放棄の申述」を行い、これを受理してもらわなければなりません。

申立て先の家庭裁判所は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

東京の場合ですと、23区は霞が関にある東京家庭裁判所本庁が管轄となり、武蔵野市、三鷹市、国分寺市、八王子市など東京西部の都市は立川にある東京家庭裁判所立川支部が管轄となります。

相続放棄申述書を作成し、被相続人や申述人の戸籍謄本(除籍謄本)、被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)を取り寄せて管轄の家庭裁判所へ提出しましょう。

提出は直接管轄の家庭裁判所に持参する方法の他、郵送でもすることができます。

800円分の収入印紙と連絡用の郵便切手も必要です。

相続放棄の申述には3か月という期間制限もあるので、早めに対応しなければなりません。

当事務所では法律の専門家が相続放棄のご相談を承っています。

相続財産に借金がある、相続の揉め事に関わりたくないなどの理由から相続放棄を検討されているなら、お気軽にお問合せください。

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