相続財産は、ときには高額となる場合もあり、その財産を誰が承継するかは相続人全員の関心ごとです。
財産はトラブルのもとにもなり得るものであり、最近では争続(相続人同士の遺産をめぐる争い)の問題が非常に増えてきていることから、親族間で相続についての話し合いの機会を設けることが大事です。
しかし、最近のシニア層は元気な方が多く、「相続など遠い将来の話」と思ってしまいがちです。また、相続人側としても、本人が元気なうちは相続財産というシビアな問題をなかなか切り出せないでいるのが現状です。
そんなとき、「家族信託」のことを検討すれば、相続についての話し合いのきっかけになります。
今回は、相続対策を始めるべきタイミングや、家族信託が相続についての話し合いのきっかけになることについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
1.相続対策を始めるべきタイミング
「相続対策」というと、いくつくらいから始めるイメージでしょうか?
若い方なら、仕事を定年退職して年金をもらい始める「65歳くらい」と考えるかもしれませんが、実際に65歳になってみると、身体も元気なので「まだ先でいい」と考えてしまうものです。
つまり、頭もはっきりしていて身体も元気なうちは、相続対策の必要性をなかなか実感することができません。
しかし、判断能力が衰えてしまったり、病気になってしまってからでは、相続対策は手遅れになってしまうケースが多いです。
相続対策は、判断能力がしっかりしていて身体も元気なうちに始めるべきなのです。
ですので、年齢的には60歳でも早すぎることは決してありません。
特に親族間の仲があまり良くなく、疎遠となっている場合には、50歳代からでも相続対策は考えておくべきです。
2.家族信託を相続の話し合いのきっかけにする
相続対策の必要性を感じても、家族で相続について話し合うのは親も子どももお互いに気が引けるものです。離れて暮らす子どもを呼び集めるのも大げさですし、何から話せばよいのかわからず困惑してしまうケースも多々あります。
そんなときには家族信託をきっかけにしてみてください。
家族信託が相続の話し合いのきっかけになる理由
家族信託を設定するときには、委託者、受託者、受益者などの当事者や、信託財産、財産の処分・管理の方法など様々な事柄を決めなければなりません。
こういった事柄を決定するには、家族全員が話し合って意見を出し合う必要があります。つまり家族信託を始めることは、家族間での財産についての意見交換をするきっかけになります。
また、家族信託は遺言と違い、生前の財産管理についても定めることができます。「遺言書を作成する」というと「死」を意識するので親子共々「縁起でもない」と考えて敬遠してしまいがちですが、生前の財産管理対策としての家族信託であれば、お互いに抵抗感も小さくなるでしょう。
相続対策の必要性を感じているなら、まずは生前の財産管理にも活用できる家族信託から検討を始めてみてはいかがでしょうか。
司法書士は相続や家族信託の専門家ですので、お気軽にご相談ください。